2019.12.01
“印刷”という言葉で一括りにされがちな「製本」工程ですが、 製本を専門として行う会社も多数あり、製本技術も多種多様な進化を遂げています。
その中でも革命的な進化を遂げたのが、新型接着剤「PUR」を使用した製本です。
当社では積極的にPUR接着剤を使用した製本を勧めております。
それはPUR製本の持つ、数々の魅力があるためです。
【PUR製本のススメ】第3回は、PUR製本の大きな特徴の一つである
「よく開く」について説明したいと思います。
「よく開く?本は開いて当たり前じゃないか」という方も居られるかと思います。
その通りです。本は開きます。でもPUR製本の場合、ホットメルト製本より、よく開くのです。
(→PURとホットメルトについてはPUR製本のススメ① 【生き続ける本】編参照)
百聞は一見にしかずです。下記の画像を見てください。
東香山 大乘寺『加賀 大乘寺 写真集 四季、修行生活』
2冊の写真集が上下に並び、中央ページで見開いています。同じ写真集なのですが、実は製本方法が違います。
奥が一般的に普及しているホットメルト製本、手前は当社が推しているPUR製本です。
奥のホットメルト製本した写真集よりも手前のPUR製本の方がフラットに開いているのが分かると思います。
これが「よく開く」という意味です。
PUR接着剤は強い接着力を持ちながら1200%の伸張率つまり柔軟性を持ち合わせています。
「強固」なのに「柔軟」。言葉の意味合いは真反対なのに、これを現実にしているのがPUR接着剤です。
ただこれには仕組みがあります。その理由は1冊に使用する接着剤の量です。
ホットメルトを本の背に塗布する場合、およそ1mmほど塗布します。
ですが強固な接着力を持つPUR接着剤は10分の1の量、およそ0.1mmで十分な製本強度を保てるのです。
(→PURの強固な接着力についてはPUR製本のススメ② 【強固な接着力】編参照)
薄く塗布したほうが、よりたくさん反ることができますから、このようによく開く本が可能になるのです。
このように「よく開く」ということは冊子や本にとってはいいことづくめでしかありません。
応用して考えてみれば、文庫本から大型の美術本、はたまたノートにまで幅広く活用することができます。
・文庫本ならよく開くので本を360度開いて、片手読みしてもページが抜けることもなく、手軽に読むことが出来る。
・教科書や参考書、楽譜や料理本など、そのモノを読みながら別の作業をする場合、本が勝手に閉じてしまうことがあり、文鎮やブックスタンドを活用しますが、よく開くのでハンズフリーでOK。
・取扱い説明書やカタログなど私的利用でコピーが必要なものはよく開くのでコピーの際に影が出にくく、コピーしやすい。
・重量のある大型の美術本や写真集など読むときにある程度、構えた読む姿勢を強いられる本はよく開くので楽な姿勢で読書ができる。
・本だけでは、ありません。リング式やホッチキス綴じ(中綴じ)のノートなどはリングやホッチキス部分に手が触れて危なかったり、書きにくかったりしますが、よく開くので書き込みしやすい。
「よく開く」
本や冊子にとっては当たり前のことですが、PUR製本の「よく開く」は本や冊子の基本性能をグッとあげてくれます。
これを機会にPUR製本に変えてみませんか?詳細は各営業スタッフまでお問い合わせください。
次回はPURの最大の特徴である耐寒耐熱性について説明したいと思います。(→PUR製本のススメ④【外気温に左右されない】編)
下記でもお見積り等受付致します。
お問い合わせください。